タミヤKVシリーズ用のコンバージョンレジンキット。今年のKVブームを先取りするようなタイミングで発売された一連のシリーズのうち、この項では砲塔まわりのコンバージョンキットを取り上げてみる。なお、車体後部エンジンデッキのコンバージョンキットの項(工事中)も参照されたい。
ここの製品は質のばらつき(というか製品化コンセプト自体のばらつき)が激しいという評判である。酷い場合は「キットのパーティングラインや押し出しピン跡を消してみました」程度の製品もあるらしい。しかしながら、今般のKV砲塔2種に関しては(寸法的なものは未検証であるが)、それなりによく仕上がっている。ただし、以下に示すように含まれるパーツは砲塔のみであり、エンジンデッキ等の改修パーツは入っていないので、各自リサーチの上で必要な改修を施す必要がある。
なお、ここの製品は日本国内では流通しない場合も多々あるため、今回はGreat
Models Websiteより入手した。
組継ぎの砲塔上面板と砲塔本体は綺麗に接合するためには、若干の成形と溶接跡の再現が必要となるだろう。
写真1:KV-1 1942年型砲塔キット、パーツ全体。中空で成形されているため、砲塔上面ハッチを開状態にすることが可能。
実車写真はドイツ軍が捕獲した車両のものが2枚公開されているだけだが、キットはこの車両をよくリサーチしている。砲塔は1941年型溶接砲塔であるため、砲塔本体はタミヤKV-1Bのものを使用することになる。砲塔上面板が含まれているのは、対象となった車両がペリスコープをMk4に変更していることを再現するため。通常のKV 後期型ではMk4ペリスコープが左側に装備されている例が確認されているが、この車両は右側に装備している。おそらく、76mm砲搭載型で砲手用(砲塔左側に着座)だったが、KV-8では副武装でしかない45mm砲手ではなくて、主武装の火炎放射器の操作手(砲塔右側に位置)のために新型のペリスコープを誂えたということだろう。
砲塔周辺のペリスコープカバーはなぜか2個しか含まれていなかった。なお、正体不明の円筒形パーツ(写真2右中)も含まれているが、キットには説明書が含まれていないので、どこに使えばよいのかすら皆目見当がつかない。
近頃発売されたEECのKV-8Sの主砲部分は棒状のパーツ1個で再現されているだけで、この2重スリーブ部分が全く再現されていない。8/8S用砲身(及び防盾)を別売りすればそれなりに需要はあると思うがどうだろうか。
写真2:KV-8キット、パーツ全体。右下に正体不明の円筒形パーツが!その横にあるのがMk4ペリスコープ用カバー。
写真3:砲・防盾パーツのアップ。砲塔のスリーブ部分はそれなりに再現されている。
なお、KVの形式分類については、KV maniacsを参照されたい。
日本ではThe Tank Workshopの製品はOrdnance Modelブランドで販売されているが、必ずしもアメリカ国内での流通アイテムを全て輸入しているわけではないようだ。また、今般の一連のKVアクセサリー製品にはTank
Maker製の雰囲気が強く感じられる。ひょっとしてTank Makerが消滅・吸収されてしまったのだろうか。この2社を巡る状況には不明な部分が多い…。