Peltaで買ってしまったつまらないものの項で取り上げたとおり、このT-26図面集は信憑性という点ではかなり疑問が残る内容である。しかしながら、T-26ファミリーのほぼ全ての車両の図面が掲載されていること自体は貴重であり、今後の考証の際のポイントとなるであろう疑問点を記しておくことにした。
1)T-26の火力支援型であるT-26A。BT-7Aとは異なり試作車両のみ製作されたので、殆ど資料が残っていないはず。にもかかわらず、本図面集ではいっぱしに取り上げられている。この車両に限ったことではないが、ことAFVの上面というのは戦時の記録写真では殆どお目にかかれない。この図面に描かれている砲塔上面のレイアウトも甚だ疑問。
写真1:T-26Aの図面。砲塔上面は大型ハッチ一つになっている。同じ砲を搭載したT-28では通常は丸形及び角形ハッチがついているが、初期では角形一枚ハッチになっている。このT-28初期砲塔と同一の砲塔という解釈か? ただし、T-28初期砲塔の場合、ハッチは砲塔中心線に付けられているが、この図面のT-26Aでは右寄り。
2)火炎放射型のOT-26。OT-26は大量生産されている車両であるが、やはり車体上面をクリアに写した写真は見たことがない。特に、撤去された左砲塔の跡がどう処理されているかは前から気になっていた。
写真2:OT-26の図面。撤去された砲塔のあった上面に大型ハッチと小型円形ハッチ2個が付いている。乗員の乗降用(大型ハッチ)と火炎放射機用燃料の給油口(小ハッチ2つ)か?(追記)かば◎氏より、大型ハッチは燃料タンク自体の交換用ではないかとの指摘あり。
同じOTシリーズでも、単砲塔T-26に火炎放射機を搭載したOT-130、OT-133は車体右後部に給油口(円筒形のパーツ)が付いている。本書掲載の両車の図面には、残念ながらこの給油口が描かれていない。残念ながら、両車両の給油口部分を鮮明に写した写真に遭遇したことはない。
OT-26の図面でも、車体後部の給油口は描かれていないが、これがOT-26では元々装備されていなくて車体上面から給油したということなのか、OT-130、OT-133同様、車体後部に給油口があるものの図面上割愛されてしまったのかは定かではない。OT-26の車体後部がどうなっているかも、残念ながら現時点では不明である。
ズベズダから発売予定のOT-26で、この部分がどう処理されるかが気になるところ。ズベズダの広告(出典:M-Hobby #6/00)は【こちら】。
3)おまけ。
写真3:ドイツ軍改修による75mm自走砲バージョン、及び本家ロシア製有象無象なT-26ベース試作自走砲。こういうバリエーションまでフォローしているのは凄いというべきか。これでもう少しちゃんとした図面だったら…
今後発表される新資料で上記に関する事実が明らかになることを期待したい。本件に関する情報募集中!